群ようこ さんの小説『かもめ食堂』を読んだので、個人的に心に響いたポイントを中心にレビューを書きました。
映画にもなっている小説なので、本が好きな方はもちろん映画が好きな方も一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
読後感のいい、幸せを感じられる小説でした。
もし気になってるけどまだ読んでないという方、ぜひ読んでみてください。とても読みやすいですし、おすすめです。
『かもめ食堂 (幻冬舎文庫)』
著者:群 ようこ
あらすじ
フィンランドのヘルシンキにある「かもめ食堂」。
日本人女性サチエが店主を務めるそのお店の看板メニューはおにぎり。しかしお客は日本人オタクの青年トンミ1人だけ。
ある日そこへ訳あり気な日本人女性、ミドリとマサコがやってきて、お店を手伝うことになり……。
ぐっときた台詞
どこに住んでいても、どこにいてもその人次第なんですよ。その人がどうするかが問題なんです。しゃんとした人は、どんなところでもしゃんとしていて、だめな人はどこ行ってもだめなんですよ。
かもめ食堂 (幻冬舎文庫) 群ようこ
悲しみに暮れるリーサおばさんを見て、ヘルシンキの自然は癒してくれないんでしょうか。と首をかしげたミドリに対して、サチエが言った言葉です。
自然に囲まれている人すべてが幸せになるとは限らない。
すべては周りではなく自分次第なんですよね、というセリフです。
そのセリフが刺さった理由
仕事が最近つまらないな、生活にハリがなくなったな、と思うことがよくあります。
何年も同じ仕事をしていると、どうしても慣れが出てきてしまっているんですよね。
もっと楽しい仕事があるはずだ、自分に合った会社が他にある、そう思ってしまうのは社会人あるあるなんじゃないでしょうか。
だからこそ、私には先ほどのセリフが刺さったんだと思います。
幸せになれないのは仕事がつまらないせいだ、同僚が嫌な人ばかりなせいだ、上司がダメ人間だからだ、そうやって人のせいにばかりする「しゃんとしていない」人。
しゃんとしていれば、自分さえちゃんとしていれば、何とかなる。本当にそれだなと。
何とかなる、そう思えるのは自分が「ちゃんとしている」という自信があるからなんだなと思いました。
そんな風な人になりたいと感じているからこそ、私の心に刺さりました。
最後に
群ようこさんの本は初めて読みましたが、とても読みやすく、するする内容が入ってきますね。
風景描写などもしつこくなく、淡々としているんですがちゃんと風景が頭に思い浮かびます。
淡々としているけれど、ほっとできる、そういう雰囲気のお話でした。
事件は起きるし登場人物もそれぞれに大変な思いをしてきているけれど、それを感じさせない、からっとしたような、あっけらかんとしたような文体で、読んでいてとても心地よかったです。
サチエ、ミドリ、マサコの3人と「かもめ食堂」のこれからを想像させるような終わり方で、それもすごくよかったです。
こんなお店があったらいいな、行きたいな、と思うお店でとても素敵でした。
ちょっと最近疲れがたまってるな、癒されたいな、そんな大人女子におすすめの本です。
カフェでシナモンロールとコーヒーでも飲みながら読んだら、とてもいい一日が過ごせそうです。
ぜひ群さんワールドに浸ってみてください。
『かもめ食堂』は2005年に荻上直子監督の映画にもなっています。
映画の雰囲気も優しいので、静かな映画が好きな方にオススメです。
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